インプラントで保険が利くケースとはどんな場合? - インプラントなら茨城県古河市の嶋野歯科医院

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インプラントで保険が利くケースとはどんな場合?

インプラント治療は、1本30万円前後と非常に高額な治療費が必要です。これは、インプラント治療が保険診療で受けられない治療=自費診療による治療法だからです。

ですから、もし保険診療でインプラント治療が受けられるようになればと思う方も多いことでしょう。実は、インプラント治療の中には保険が利くケースもあるのです。

今回は、保険が利くインプラント治療について解説します。

インプラントで保険が利く?

以前は、インプラント治療に保険診療はまったく使えませんでした。

そんな中、2012年の保険診療の改定を機会に、保険診療に導入されました。ですが、あらゆるインプラント治療で保険が利くわけではありません。国が定めた一定の条件に当てはまるケースのみ、保険診療でインプラント治療が受けられます。

なお、保険診療ではインプラントとは呼ばれません。インプラントを『広範囲顎骨支持型装置』、上部構造物と呼ばれる差し歯部分のことを『広範囲顎骨支持型補綴物』と呼んでいます。

保険でインプラントを受けるための条件とは

どのようなケースなら、保険診療でインプラント治療が受けられるのでしょうか。

保険診療でインプラント治療を受けられる症例

保険診療でインプラント治療を受けられるのは、どんな症例でもいいというわけではありません。あくまでも国が定めた条件に当てはまる症例に限られます。

症例の条件

保険診療でインプラント治療を受けられるケースは、以下の通りです。

腫瘍やケガなどによって、顎の骨を広範囲にわたって失ったケース、もしくは失った部分を他の骨を移植するなどして補ったケース
(広範囲とは、上顎骨の1/3以上失った、もしくは失った骨の部分が鼻や上顎洞に及んだ場合、下顎骨の1/3以上を失った場合を指します)
*唇顎口蓋裂や外胚葉異形成症という生まれつきの病気によって、顎の骨の成長がうまくいっていないケース
*唇顎口蓋裂や外胚葉異形成症という生まれつきの病気によって、顎の骨の1/3以上の範囲の歯がないケース

これらの条件のいずれかに適合し、通常の保険診療の入れ歯やブリッジでは噛み合わせの回復が難しい場合に限られます。

保険診療でインプラント治療を受けられる医療施設

実は、上記のケースに当てはまるからといって、全ての医療施設でインプラント治療を保険で受けられるわけではありません。

保険診療でインプラント治療を行える医療施設にも、条件が定められています。

医療施設の条件

医療施設の条件としては、以下のように定められています。

*歯科・歯科口腔外科を標榜している病院であること
(病院とは、20床以上の入院設備がある医療施設を指します。20床以下なら有床診療所となりますので、ベッドがあるからといって必ず認められるとは限りません)
*常勤の歯科医師が2名以上いること
(ただし、歯科・口腔外科での5年以上の診療経験とインプラント治療の3年以上の診療経験が必要です)
当直体制が整えられていること
*医療機器や医薬品の安全管理体制が整えられていること
*インプラント治療に必要な検査機器を備えていること

保険診療のインプラントの種類

保険診療で受けられるインプラントも、通常のインプラントと同じく義歯タイプとブリッジタイプの2種類あります。

ですが、保険診療でインプラント治療を受けるためには、顎の骨の1/3以上を失った場合などの条件があるため、保険診療では1本や2本程度のインプラント治療は行われません。

義歯タイプ

義歯とは、入れ歯のことです。

一般的にはインプラント義歯とよばれているタイプで、インプラントを数本埋め込んだ上に、入れ歯型の人工歯を装着するインプラント法です。

ブリッジタイプよりも少ないインプラント本数でできるので、インプラント治療の侵襲が少なくてすみますし、義歯タイプなら広範囲に顎の骨を失った場合にも適応できる利点もあります。

ブリッジタイプ

ブリッジとは、橋をかけるように、数本分の人工歯をそれより少ないインプラントに装着するインプラント治療法です。

義歯タイプと違い、装着される人工歯が、入れ歯のような形ではなく差し歯のような形なので、見た目の違和感が少ないという利点があります。

その一方、ブリッジタイプは適応できるサイズが顎の骨の1/3までなので、それ以上の場合は義歯タイプとなります。

インプラント治療は保険診療では難しい

インプラント治療を保険診療で受けられるケースはかなり限られます。その理由を2つの観点から述べます。

症例の条件の点から

症例の条件にある「腫瘍やケガなどによって、顎の骨を広範囲にわたって失ったケース」には、歯周病や加齢によって顎の骨を失った場合は含まれません。

したがって、歯周病や加齢で顎の骨を1/3以上失っても、インプラントの保険診療の適用とはならないのです。

一般的にインプラントを受ける理由として多いのが、歯周病やむし歯によって歯を失ったケースですから、多くの方は保険診療でインプラント治療は受けられません。

医療施設の条件の点から

定められた条件に合う医療施設としては、大学の歯学部附属病院や医学部附属病院が該当します。

市立病院や県立病院など市中病院にも口腔外科はありますが、歯科医師が当直しているわけではないので、病院歯科もほとんどが該当しません。

インプラント治療を保険診療として適用させるには、まず症例の条件に該当することを確認したうえで、大学の歯学部附属病院や医学部附属病院など条件に合う医療施設で受ける必要があります。

しかし、わが国の歯科医療施設の大多数が歯科クリニックであることを考えると、たとえ、症例の条件が当てはまったとしても該当する医療施設はとても少なく、施設面の条件もなかなか厳しいと言わざるを得ません。

まとめ

インプラント治療は、上記で挙げた条件に当てはまれば『広範囲顎骨支持型装置』『広範囲顎骨支持型補綴物』という名称で、保険診療が適用できます。

しかし、この条件では保険診療を利用してインプラント治療を受けるのはかなり厳しいことから、ほとんどの人が保険診療で受けられず、自費診療として一般の歯科クリニックで受けるという選択が一般的となっています。