こんにちは。嶋野歯科医院、院長の嶋野です。

以前、見た目で味は変わるかという話を書きました。脳は食べる前から、見た目で味を予想しているという内容です。今回はその続きで、見た目ではなく「情報」で味が変わる話です。

同じワインでも、値段を聞くと評価が変わる

有名な研究があります。まったく同じワインを、違う値段だと説明して飲んでもらったところ、高いと聞かされたほうが「香りが豊か」「味に深みがある」と高く評価されました。

面白いのはその先です。飲んでいるときの脳の活動を調べると、心地よさやおいしさに関わる領域が、高いと説明されたときのほうが強く働いていました。値段の情報は、ただの思い込みでは済まず、おいしいと感じる仕組みそのものに入り込んでいたことになります。

料理を作る側としては、少し耳の痛い話です。

ブランドには、期待を上乗せする力がある

有名ブランドの商品を見ると、「これなら安心」「品質が高そう」と感じます。長く品質を守ってきたブランドには、その期待に応えるだけの努力があるのも事実です。

ただ、同じ中身でもブランド名が付くだけで評価が上がることは、さまざまな研究で示されています。ブランドは品質の目印であると同時に、味そのものにも上乗せされています。

店の雰囲気も、味付けのうち

落ち着いた照明、心地よい音楽、きれいな盛り付け、丁寧なサービス。こうしたものは、脳に「特別な食事だ」という印象を与えます。同じ料理でも満足度が上がるのはそのためです。

一流の料理人が、味付けだけでなく器や出すタイミング、店内の空気まで気を配るのは、おいしさが舌だけで決まらないことを経験で知っているからだと思います。

思い込みは、悪いことではない

「値段で味が変わる」と聞くと、騙されているように感じるかもしれません。けれどもこれは、限られた情報から素早く判断するための、脳のまっとうな働きです。人は安全な食べ物を選び、効率よく暮らすために、経験や知識まで味見に使っています。

期待が料理をおいしくしてくれるなら、それも食事の楽しみのうちです。とはいえ、ラベルを隠して2本を飲み比べてみると、自分がどれだけ値段に引っ張られていたかがよく分かります。