こんにちは。嶋野歯科医院、院長の嶋野です。

インプラントについて調べていると、「1本〇万円」「他院より安くできます」といった広告を目にすることがあると思います。同じインプラント治療なのに、どうしてここまで値段が違うのか。疑問に思われるのは当然です。

医院の経営努力や効率化で費用を抑えている場合もあります。一方で、使うインプラント、治療の中身、設備、保証の違いが、そのまま価格の差になっていることも多くあります。安いから悪い、高いから良い、という単純な話ではありません。

インプラント本体と部品のメーカー

世界には数百種類以上のインプラントシステムがあり、価格だけでなく、長期の臨床データ、使用実績、将来の部品供給に大きな差があります。広告で見かける「ジェネリックインプラント」は正式な分類ではなく、有名メーカーの互換品などを指す俗称です。この点は歯科インプラントにジェネリックはあるのかで詳しく書きました。

当院では、長期のデータと部品の供給体制を重視して、ノーベルバイオケアとストローマンを使っています。上に付ける部品も、メーカーの純正品です。互換部品が必ず悪いわけではありませんが、純正部品はメーカーが設計し、検証した適合精度を前提にしているからです。

骨造成や再生療法をするかどうか

骨が足りない場合、骨造成やサイナスリフト、PRGF-Endoret®による再生療法を行わずに、費用を抑える方法を選ぶこともできます。ただ、理想の位置にインプラントを入れられなければ、長期の安定や見た目、清掃のしやすさに影響が出る可能性があります。当院は最終的な歯の形を最優先に治療計画を立てるため、必要なら骨造成をご提案するのが基本です。

人工歯の材料と、固定の方法

人工歯にはレジン、セラミック、ジルコニアなどがあり、材料によって価格も耐久性も変わります。オーダーメイドで設計するか、どこの技工所で作るかでも費用は違ってきます。

固定の方法も同じです。当院は将来の修理とメンテナンスを考えて、スクリュー固定式を基本にしています。

設備と感染対策

歯科用CT、デジタルシミュレーション、X-Guide®といった設備は、導入と維持に費用がかかります。精密な診断と手術の安全性に直結する部分です。

高圧蒸気滅菌、使い捨ての器具、滅菌パック、手術室の衛生管理といった感染対策にも、患者さまからは見えないコストがかかっています。ご希望や症例に応じて麻酔科医と連携して行う静脈内鎮静法の体制も、同じく費用に含まれる部分です。

保証とメンテナンス

治療費には、将来の保証の費用が含まれていることがあります。保証期間が長い医院は、万一インプラントや人工歯に不具合が出たとき、一定期間は修理や再治療の費用を医院が負担します。その分を見込んだ価格になっているわけです。

逆に、保証期間を短くする、対象を限定する、保証を設けないことで、初期の費用を抑えることもできます。それ自体が悪いわけではありません。ただ、インプラントは10年、20年と使うことを目指す治療です。比べるときは、保証の期間、範囲、条件、定期メンテナンスとの関係まで確認されることをおすすめします。

比べるときは、中身で

インプラントは、定期的なクリーニング、噛み合わせの確認、ネジの点検、必要に応じた部品交換があって長持ちします。その体制も、治療費の一部です。

治療費は、高いか安いかだけでは判断できません。使うメーカー、治療の内容、設備、保証、メンテナンス。価格には、そうしたものがすべて含まれています。

当院が「20年後も修理できること」にこだわるのは、修理の部品が手に入らずに困っている方を、実際に何人も診てきたからです。治療を検討される際は、価格と一緒に、その価格に何が含まれているのかも比べてみてください。