こんにちは。嶋野歯科医院、院長の嶋野です。
インプラントの人工歯をどう固定するか、大きく分けて2つの方法があります。セメントで接着するセメントリテインと、ネジで留めるスクリューリテインです。
どちらも確立された治療法ですが、当院では基本的にスクリューリテイン(スクリュー固定式)を採用しています。装着したその日ではなく、10年後、20年後を見据えた結果の選択です。理由を順にお話しします。
理由① 適合精度を保ちやすい
インプラントには、天然の歯にある歯根膜のクッション機能がありません。そのため、わずかな適合の誤差がスクリューの緩みや破折、骨への負担につながることがあります。
スクリューリテインは上部構造をインプラントへ直接固定するので、設計どおりの位置に高い精度で装着できます。セメント層の厚みや硬化するときの収縮に影響されない点も、補綴物本来の精度を保つうえで大きな利点です。
理由② 将来、取り外せる
インプラントは入れたら終わりの治療ではありません。長く使う間には、ネジの増し締め、噛み合わせの調整、人工歯の修理や交換、内部の点検が必要になることがあります。
スクリュー固定なら、必要なときに上部構造を安全に外し、処置のあと再び同じ位置へ高い精度で戻せます。長期間維持していくうえで、これは代えがたいメリットです。
理由③ セメント残留のトラブルを避けられる
セメント固定では、余分なセメントが歯ぐきの奥に残ってしまうことがあります。この残留セメントはインプラント周囲炎や歯肉の炎症、骨吸収の原因になりやすく、他院で治療されたインプラントを診た際に原因として見つかることも珍しくありません。
スクリューリテインはセメントを使わないので、このリスクを根本的に避けられます。
理由④ メンテナンスしやすい
インプラントを長持ちさせるには、手術以上に日々の手入れと定期検診が効いてくるものです。
定期検診では内部の状態確認、ネジの緩みの点検、専門的なクリーニング、補綴物の研磨や修理、噛み合わせの再評価を行っています。上部構造を外せれば、肉眼では見えない部分まで清掃と点検が届きます。患者さまにとっても医院にとっても、管理しやすい方法です。
理由⑤ 修理に対応しやすい
長く使えば、人工歯が摩耗したり、レジン部分が欠けたり、色を変えたくなったりするものです。上部構造だけを新しくしたいという場合もあります。
スクリュー固定なら必要最小限の処置で対応できることが多く、身体の負担も、将来かかる費用も抑えられる可能性があります。
欠点もあります
いいことばかりではありません。噛む面にネジ穴ができること、埋入の位置と角度に高い精度が求められること、補綴の設計と製作に高度な技術が必要なことが挙げられます。
ただ、CT診断、口腔内スキャナー、デジタルシミュレーション、CAD/CAM技術の進歩で、これらの課題はかなり改善されました。ネジ穴もコンポジットレジンで自然に封鎖できるので、見た目への影響は最小限に抑えられます。
治療の成功は、手術が終わった時点では決まりません
インプラント治療の成功とは、手術が無事に終わることではないと考えています。長く快適に噛み続けられて、必要なときに修理やメンテナンスをしながら機能を維持できること。それが成功です。
だからこそ、将来外せて、修理できて、清掃できる方法を基本にしています。目の前の治療だけでなく、その先何十年もの生活を見据えて設計すること。それが当院の基本的な考え方です。
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