こんにちは。嶋野歯科医院、院長の嶋野です。
「インプラントにもジェネリックはありますか?」
診療中によくいただく質問です。薬ではジェネリック医薬品がすっかり定着したので、インプラントにも同じようなものがあると思われるのは自然なことです。ただ、歯科インプラントには、医薬品と同じ意味でのジェネリックはありません。
ジェネリック医薬品とは何か
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許が切れたあとに作られる薬です。有効成分や効果、安全性が先発品と同等であることを確かめたうえで承認されるので、開発コストを抑えられ、価格も安くなります。
インプラントは、同じものを作れない
インプラントは薬ではなく医療機器です。そして、メーカーごとに中身がまったく違います。チタン材料の種類、表面の処理、ネジの形、骨との結合を促す設計、アバットメントとの接続の構造、製造の精度、補綴部品の設計。どれも各メーカー独自の技術で、全く同じ製品は作れません。
「有効成分が同じだからジェネリック」という考え方は当てはまらず、薬機法の上でも「ジェネリックインプラント」という分類はありません。
「ジェネリックインプラント」と呼ばれているもの
それでもネットでこの言葉を見かけるのは、次のような製品が俗にそう呼ばれているからです。
一つは、ノーベルバイオケア、ストローマン、アストラテック、ジンマー・バイオメットといった、世界的に普及したメーカーの接続形態を参考に設計された互換品です。接続部は合っても、材料も製造工程も品質管理も違い、同じ臨床データがあるわけでもありません。
もう一つは、比較的新しいメーカーのインプラントです。優れた製品も増えていますが、長期の臨床成績、世界での使用実績、部品の供給体制、長期のサポートには、メーカーによって差があります。
選ぶときに見てほしいのは、20年後
インプラントは埋めて終わりの治療ではありません。長く使ううちに、ネジの交換、人工歯の修理、アバットメントの交換、上部構造の作り直しが必要になることがあります。そのとき部品が手に入らなければ、修理そのものができません。
当院には、他院でインプラント治療を受けた方が、人工歯が外れた、ネジが緩んだ、部品が壊れたといった理由で来院されることがあります。その中には、使われているメーカーが分からない、あるいはメーカーが部品の供給を終えているために、修理に必要な部品が手に入らないケースがあります。本来ならネジ1本の交換で済むはずが、インプラントの撤去や再治療が必要になることもあり、患者さまにとっては時間も費用も大きな負担です。
そういう場面を何度も見てきたので、私がインプラントを選ぶときに見るのは、埋入するときの価格より、10年後、20年後もその部品が手に入るかどうかです。長期の臨床データが10年、15年、20年と報告されているか。世界中で使われ、研究が積み重なっているか。部品の供給が続いていく体制があるか。
当院がノーベルバイオケアとストローマンを使う理由
当院では、この基準で評価して、ノーベルバイオケアとストローマンのインプラントシステムを採用しています。どちらも世界中で広く使われ、長期予後のデータが豊富で、補綴部品やメンテナンス用のパーツの供給体制も整ったメーカーです。
アバットメントの記事で書いたとおり、インプラントは本体だけでなく、上に付ける部品の精度でも結果が変わります。その部品までメーカーが供給し続けてくれることが、長く使うための前提です。
価格の安いインプラントが必ず悪い、とは言いません。ただ、インプラントは一生に関わる治療です。治療費だけでなく、将来も修理やメンテナンスを受けられるかという点まで見て、納得して選んでいただきたいと思っています。
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